III. 足踏み

 計画の全体像は共有できたが,開発期間は残り4ヵ月を切っている.「プロジェクト管理の観点が必要だ」という意見が出て,プロジェクト管理業務をだれかに依頼しようということになった.幸いにも,4月2日の段階で,ある組み込みソフトウェア開発コンサルタントにプロジェクト管理を受けてもらうことができた(と,このときは思っていた…).

 また,この時点では,使用するGPSモジュールの仕様書は二上氏の手元にしかなかった.これではシステム設計の分担ができない.岸田氏の指摘により,プロジェクト・メンバ分のコピーを作成し,仕様書を共有することにした.

 ここで,ロケット打ち上げ経験者をプロジェクトに勧誘する活動が始まった.つてを辿り,大学のロケット・クラブなどにあたってみたが,具体的にどういう作業をどのような日程で依頼するのかは確定できないままだった.

 そうこうするうちに,協力してくれそうな大学もいくつか見つかった.そのとき,打ち上げ予定の7月下旬が,学生の試験期間にあたることが発覚.大学への応援要請は,行き詰まった.

 すでにプロジェクトに加わっているメンバも,本業があるので,本プロジェクトにそれほど多くの時間が割けるわけでもない.圧倒的なリソース不足が,プロジェクト・メンバに重くのしかかる.依頼したはずのプロジェクト管理者からは何の連絡もない.おそらく,メーリング・リストの存在も知らないままに,プロジェクトからの依頼は多忙の中にまぎれこんでしまったのだろう….

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