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Lepton 著
『アホでマヌケなプログラミング』

やっぱりセンスはたいせつだよね




Lepton 著
翔泳社 刊
ISBN:4-7981-0477-9
21×13cm
290ページ
1,680円(税別)
2003年10月




 センセーショナルなタイトルに反して,内容はいたってまっとう…というか,ありがちなプログラマのボヤキである.著者の長年の経験がふんだんに盛り込まれており,率直な意見が述べられている点はおもしろい.しかし,読んでいると何だかイライラする.

 それは,例えば,「なんで本文の流れを遮るように,ところどころに太字のテロップが出てくるんじゃ! どれが見出しで,どれが単なるテロップなのかさっぱりわからん.しかも,たいして強調する意味のないことばまでテロップにされているし」とか,「いちいち文章の終わりでカッコ書きで言いわけするな! ところどころならいいけど,3行連続でやられると読みづらくてしょうがないんだよ」とか,そういうことである.

 本書は,もともとWebサイト「闘わないプログラマ」に掲載した雑文(注:本書にそう書いてある)の中の,プログラマに関する文章をベースとして,加筆,再構成したものだそうだ.確かに,Web上の雑文として読めば,いやな感じはしない(むしろ「おもしろい」と言ってもいい).断定を避ける表現(「〜である」ではなく,「〜かもしれません」など)の多用も特に気にならないし,構成に筋が通っていない印象を受けるところも,雑文集という位置付けであれば問題ではない.しかし,書籍となると話は別である.話しことばの延長上にあるWebの文章と,書きことばの文化圏に所属する書籍の表現には,おのずと「やっていいことといけないこと」の違いがあるはずだ.著者には,そういう点は気にならなかったのだろうか.それとも,そんな感想を持つのは筆者だけなのだろうか.

 「美しいソース・コード」が開発作業を快適にし,バグを減らすことは周知の事実である.プログラマと呼ばれる人たちは,そういうことにこだわる人であるはずだ.現に著者だって,本文中でセンスの有無の重要性に言及している.構成やレイアウトの欠点が,プログラマである著者にわからないはずがない.そうだ,きっと悪いのはこの本を担当した編集者に違いない ……ということにしておこう.

 念のために,著者のWebサイトのほうものぞいてみた.予想に反して(いや,予想どおりと言うべきか)こちらのほうがずっと好感が持てる.イライラしながら本を読んだことを少々反省した.これは,だれが悪い,という問題ではなく,単に筆者のような感覚を持つ人間を読者対象としていないだけのことなのかもしれない.…ともかく,やっぱりセンスはたいせつだ,ということを本書で実感した.



Hello Worlder



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