Quentin Blake 作,谷川俊太郎 訳
『ザガズー ――じんせいって びっくりつづき』
いらだたしさと,愛おしさと
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Quentin Blake 作, 谷川俊太郎 訳
好学社 刊
ISBN:4-7690-2211-5
32×23cm
16ページ
1,500円(税別)
2002年11月
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だれでも子育てを経験した人なら,こどもという存在が(どんなに愛おしくても)いかに手がかかり,やっかいなものなのかを知っているはずだ.そう,まるでそれは,あるときはキーキー泣きわめくハゲタカの赤ん坊,あるときは何でもかんでもグチャグチャのメチャメチャにしてしまう子象,そしてもっと成長すると,妙な毛深いとらえどころのない生き物になっていく.
でも,そのこどもはいつの日か,親をたいせつにする優しい行儀の良い若者に成長する.そして,こどもが生涯の伴侶を見つけ,親にその報告をするころには,今度はこどものほうが気づく番だ.親が,すでに別の生き物になってしまっていることを….この本は,そういうことをごく優しいまなざしで描いている.
「子を持って知る親の恩」と言うが,別にこどもなんて持たなくたって,親の恩に気づくときがある.特に,親が小さく見えるようになったときに,こどもは優しくなる.そんな風に,こどもと親の関係は年月とともに変わっていく.
なんてすてきな本だろうと思って親に紹介したら,「こどもをハゲタカの赤ん坊扱いするなんて,とんでもない!」などと難くせをつけられた.おかしいなぁ.もう子育ての時代の苦労を忘れちゃったのかなぁ…注.やはり,すでに別の生き物になってしまっているのか…と思いつつ,親のプライドを尊重するため,指摘するのはやめておいた.
注:謙虚さの違いだという話もある.
組み込めないネット編集部員(志)