森川 嘉一郎 著 
											『趣都の誕生 ――萌える都市アキハバラ』 
										 
											いたってまじめな都市と人間の考察 
											 
										
										
										
										
												
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													森川 嘉一郎 著 
														幻冬舎 刊 
														ISBN:4-344-00287-3 
														
														19.5×13.5cm 
														271ページ 
														1,500円(税別) 
														2003年2月(初版第1版) 
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										 上京してきて2年が過ぎた.いろいろなことに慣れてきたが,人混みだけはいまだに勘弁してほしい.中でも,休日の渋谷,原宿,池袋,そしてアキハバラ.できるならば,近寄りたくない場所である. 
											 
											 前者三つは,ノリが違うから.「年齢的に違和感があるのかな」とも考えたが,たとえ私が10代でも,そのころからテンションの低かった私には,おそらく好きになれない場所である. 
											 
											 アキハバラ….あの街ほど男女の比が偏っている場所もないだろう.街自体は嫌いではない.が,男クサイのはイヤ.そうなのだ.あの街は,なにか臭いが違うのである. 
											 
											 この「なにか」を実にまじめに解説してくれている本が出た.それが本書である.装丁からすると,なんとなく「おちゃらけアキバ論」みたいで,軽く読めてしまうかなと思ったのだが,とんでもない. 
											 
											 「アキバではなぜ幼女を描いたアニメの絵がたくさん飾られているのか?」に始まり,「家電の街からパソコン(趣味)の街へ」変化した過程,パソコン・マニアがアニメの美少女を好きな理由,はては渋谷や池袋などと比較しつつアキバという街の成り立ちについて実にまじめに語っている. 
											 
											 「アキバ論」というより「オタク論」なのだが,冷やかしでもなく,いじけた視線でもなく,淡々と事実とその分析を述べている点に好感が持てる.本書を読んだところで,あの独特の臭いを好きになれるわけもない.しかし,もしもアキバに足を踏み入れてしまったら,そのときは著者のような目線でこの街を見るようにしたいと思った. 
											 
											 
											 
										組み込めないネット編集部員 
												
												(と) 
											 
											 
										 
									 
									
									  
                
      
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