エフセキュアが発表した「9カ国を対象にオンラインセキュリティに関する意識調査を実施」というレポートが各メディアで紹介されていますが,ちょっと気になった点を挙げてみます.
- インターネットのセキュリティを保つには、海外の消費者の50%がアンチウイルスソフトやISP事業者が提供するセキュリティサービスが最も重要と回答しているのに対し、日本では72%の人が安心できるウェブサイトの利用やオンラインの適正利用のほうが重要と回答しました。
- デジタルデータの保管場所について聞いたところ、日本でのベスト5は、①ハードディスク(82.5%)、②CD-ROM(42%)、③外付けハードディスク(28.5%)、④USBメモリ(27%)、⑤オンラインストレージ(7%)の順でした。他国では、USBメモリにデータを保管するケースが多く、CD-ROMでのバックアップの方が多かったのは日本、ドイツ、フランスの3カ国だけでした。
一般に,ハードディスクのMTBF(Mean Time Between Failure;平均故障時間)は,下記のような感じになっています.
●HDDのMTBF(25℃時)
2.5インチHDD 30万時間程度
ATA/S-ATA HDD 40万~60万時間程度
SCSI HDD 100万時間程度
企業向け高寿命HDD 100万~140万時間程度
その一方で,FlashメモリのMTBFは,「105.2年経過後に167台のFlashDrive中1台のある1セクタでリードエラーが発生するが他のFlashDriveでは何も発生しない」と言われています.
寿命が長いHDDの100万時間というのは約114年,そして40万時間というのは45年です.明らかに,一般のPCで使われているローカルのHDDが「最も弱い」ですよね.
安全という面に対して慎重であるはずなのに,データの保存が「最もMTBFの低い媒体である」という点に疑問を抱かざるを得ません.
この背景には,自分のローカル・システムが最も安全だという「神話」があるからなんじゃないかという気がします.箪笥貯金が最も安全だという考え方と似ている……というと書きすぎでしょうか? でも,ローカルのPCでは,ウィルスや侵入,P2Pソフトの使用によって「データが漏れやすい」という現実があります.
また,USBメモリは,故障率の面でこそ安心できますが,「盗難」とか「紛失」という危険が伴います.
さらに,ネット上にある「銀行の貸金庫」とも言えるネットストレージの利用率が低いのも気になります.ネットストレージは「データ保管のプロ」ですから,何重ものバックアップや侵入対策を行っているはずですから.
もう少し,一般のユーザに対して,心理的な安心感と,技術的な面での「安全性」とか「故障率」の違いは何か?という概念を,コンピュータのプロである開発者側からユーザ側に対して積極的に啓蒙すべき時なのかもしれません.
吉田 弘之
日刊工業新聞社
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