Mentor,SPICE相当の精度で最大1000万素子を取り扱えるアナログ回路シミュレータを発売
 米国Mentor Graphics社は,SPICE相当の精度で最大1000万素子を取り扱えるアナログ回路シミュレータ「Eldo Premier」を発売した.同社が販売してきた従来のアナログ回路シミュレータ「Eldo Classic」と比べて,処理速度は平均2.5倍,最大20倍に,取り扱える回路規模は約10倍に向上した.例えば,600万素子からなる774ピクセル×800ピクセルのTFT液晶パネルの回路を2時間45分でシミュレーションできたという.

 処理速度を引き上げるために,行列計算ソルバと代数計算ソルバを最適化した.また,イメージ・センサやLCD(液晶ディスプレイ)のような繰り返し構造の回路を高速に処理できる「階層化」の機能を組み込んだ.さらにマルチコアやマルチスレッディングによる並列処理に対応した.

 アナログ回路シミュレーションを高速化する手法として,モデルの設計抽象度を引き上げる手法(アナログ・ビヘイビア・モデリング)や計算精度を落として高速に処理する手法(Fast SPICE)などが利用されている.Eldo Premierではこれらの手法を採用しておらず,SPICEシミュレータと同じ精度と使い勝手で利用できるという.

 同社は,アナログIC設計用の回路図エディタ「IC Station Schematic」のオプションとして,シミュレーションと波形表示を行う機能「IC Station Analyst」も発売した.IC Station Scematicにアナログ回路シミュレータ「Eldo」と波形表示ソフトウェアを統合した.シングル・カーネル上でこれらのツールが連携動作する.また,ネットリスト・データや波形データをバイナリ化し,データベースはコンピュータのメイン・メモリ上に展開する.これにより,ツール間のデータの受け渡しに要する時間を短縮した.2011年12月には,ミックスト・シグナル回路やVHDL-AMS,Verilog-AMSに対応したバージョンを出荷する予定.

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