Synopsys,マルチコアSoCのアーキテクチャ最適化に利用できるスプレッド・シート入力のシステム性能解析ツールを提供
 米国Synopsys社は,複数のCPUコア(マルチコア)を搭載したSoC(System on a Chip)のシステム性能評価に利用できるスプレッド・シート入力のシステム性能解析技術「Multicore Optimization Technology」を開発した.同社(旧CoWare社)のSoC向けシステム・レベル検証ツール「Platform Architect」のオプション機能として提供する.

 スマートフォンなどに搭載されるSoCには,複数のCPUコアやメモリ・ブロックが組み込まれており,さまざまなアプリケーションがこれらのリソースを共有して使用している.複数のアプリケーションを同時に立ち上げた場合,負荷が時間とともに動的に変化するので,システム全体の性能を予測するのが難しい.CPUのISS(命令セット・シミュレータ),周辺回路のモデル,ソフトウェア・プログラムを組み合わせれば,システム性能を正確に検証できる.しかしこの場合,解析の精度は高いが,シミュレーション時間が非常に長くなり,実用的とは言いにくい.

 そこで,同社はソフトウェア(タスク)をモデリングするためのSystemCベースのAPIを用意した.それぞれのタスクについて,スプレッド・シートによって優先度や処理時間,フェッチ/ロード/ストアの配分,アドレス空間などを設定すると,性能解析用のモデルが生成される.こうした作成したタスクのモデル,および各タスク間の関係を示すタスク・グラフによって,ソフトウェアの動作を表現する.

 また,作成したソフトウェア・モデルを実行する性能評価専用のプロセッサ・モデル「VPU(Virtual Processing Unit)」を用意した.このプロセッサ・モデルには詳細な機能動作は定義されておらず,システム性能のシミュレーションを短時間で実行できる.回路規模にもよるが,同社によると1回のシミュレーション時間は数秒〜数分程度.VPUについては,クロック・ポートやバス・ポート数,割り込みポート数,1次キャッシュ,スケジューリング・アルゴリズム,ドライバ,割り込みサービス・ルーチンなどをユーザがカスタマイズできる.

 例えばPlatform Architectの環境下で,VPUを含むアーキテクチャのモデルとソフトウェア・モデルを組み合わせて性能を解析した後,VPUを実際のCPUコアのモデル(トランザクション・レベルのSystemCモデルやISSなど)に置き換えて詳細な機能動作を検証する,といった使い方が考えられる.

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