富士通テンと富士通研,車両カメラの画像を模擬するリアルタイム・シミュレータを開発
 富士通テンと富士通研究所は,製品の3次元設計モデルに仮想的なカメラを設置し,その画像をリアルタイムに確認できるシミュレータを開発した.同社の3次元仮想試作システム(VPS:Virtual Product Simulator)と組み合わせて利用する.本シミュレータは,2010年5月に出荷されるトヨタ自動車のディーラ・オプション機器「マルチアングル全周囲モニター」の開発に利用した.本シミュレータにより,取り付け誤差を考慮したカメラ画像を確認できた.また,車両周辺の任意の位置に配置した人や物の見え方なども確認できた.

 本シミュレータを使うと,実機がなくても,画像の範囲や見え方を確認したり,設計段階のレンズ仕様や取り付け位置を検討したりできる.これにより,設計段階の検討工数を約1/10に短縮できるという.

 車載カメラでは広い視野を得るために,魚眼レンズなどの広角なレンズを使用する.広角なレンズは画像の歪みが大きく,正確なカメラ画像を生成する場合には画像の歪みも含めて再現する必要がある.今回,レンズの特性データに基づいて任意の射影特性を再現するカメラ画像生成方法と,グラフィックス・ボードを使用した高速な画像処理手法を組み合わせて本シミュレータを実現した.

■連絡先
富士通テン株式会社
TEL:078-682-2170

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