NokiaがSymbianを完全子会社化,Symbian OSはオープン・ソースへ
 携帯電話端末向けのOSベンダであるSymbian社は,2009年に非営利団体「Symbian Foundation」を設立し,その後2年以内にSymbian OSやミドルウェア群の無償提供を開始すると発表した.ミドルウェア群に関しては,NTTドコモやSony Ericsson社,Nokia社,富士通,Motorola社がソフトウェア資産とドキュメントをSymbian Foundationに提供する.Symbian Foundationはそれらのソフトウェア資産を一つのプラットホームとして統合し,ロイヤリティ・フリーのソフトウェアとして提供する.

 具体的には,次のようなロードマップが予定されている.2008年第4四半期にNokia社がSymbian社を完全子会社化する.2009年上半期に,前述の企業からSymbian Foundationに対してソフトウェア資産の提供を受ける.そして,同じ2009年上半期にSymbian Foundationを発足し,統合されたSymbian Foundationプラットホームを発表する.プラットホーム資産は,その後2年以内に,Eclipse Public License(EPL)1.0に基づいたオープン・ソース・ソフトウェアとして提供される予定.

 Symbian社の日本法人であるシンビアン 代表取締役社長の久 晴彦氏は,1枚のスライド(写真2)を示しながら,「この図は,Symbianが荒波にもまれている…というわけではありません.世の中の流れに乗って,より大きな波に乗っていく,ということを表しています」と述べた.既に日本国内の携帯電話端末市場は飽和状態にあり,今後は海外への進出を狙うメーカも少なくない.久氏は,開発の基盤となるソフトウェア・プラットホームが世界共通になることによって,海外展開が容易になるというメリットを強調した.

 現在,Symbian OS向けのミドルウェア群としては,Nokia社が提供する「S60」,NTTドコモが提供する「MOAP」,Sony Ericsson社とMotorola社のジョイント・ベンチャ企業UIQが提供する「UIQ」などが存在する.プラットホームの統合に向けてこれらのミドルウェア群がどのように再構築されるのかが気になるところだが,Symbian社の最高経営責任者(CEO)であるNigel Clifford氏は明言を避けた.

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