JASA,組み込み試験制度(ETEC)の導入に関するセミナを開催
 組込みシステム技術協会(JASA)は,2007年2月20日に,組み込み技術の人材育成や人材不足をテーマに,「組込み技術者試験制度(ETEC)導入の手引き 〜JASA組込みソフトウェア技術者試験の活用〜」と題したセミナを開催した.

 本セミナでは,情報処理推進機構(IPA)ソフトウェアエンジニアリングセンター(SEC)の渡辺登氏による「ETSSの現状」,JASA ETEC運営事務局の近森満氏による「JASA組込みソフトウェア技術者試験とETEC」,JASA 研究員の田辺皓正氏による「クラス2試験模擬問題と解説」,JASA 研修委員会の大橋憲司氏による「教育カリキュラムと試験の活用について」の4講演が行われた.

 渡辺登氏は,経済産業省の調査結果を示しながら,組み込みソフトウェア開発の課題として「人材不足」,「スキル不足」が挙げられることを述べた.これについて,国では文部科学省や産業構造審議会などが,業界団体では日本経済団体連合会(日本経団連)や電子情報技術産業協会(JEITA)などが対策に取り組み始めているという.また,スキル基準とキャリア基準を区別し,何が知識で何がスキルかということを意識しながらエンジニアを育成してほしいと述べた.さらに,ETSSの導入のメリットは,エンジニア個人のスキルの可視化や目標管理の議論のたたき台であるとした.

 近森満氏は,JASA組込みソフトウェア技術者試験の受験者のプロフィールをグレード別,開発経験別に分析した結果を紹介した.エンジニアの経験が長ければ長いほど,レベルの高いグレードAの人が多くなる.また,エンジニア経験が6年以上のエンジニアには,グレードCの人がいなかった.受験者の77%は,会社または学校の推薦がきっかけで受験したという.受験料の支払いについては受験者の75%が会社または学校の負担だった.

 田辺皓正氏は,クラス2試験の実際の問題を解いてみせた.問題の中には四つの解答例の中から誤った項目を見つけるような問題もあるという.また,解答例の文章が長い場合もあるので,読んで理解するのに時間がかかることもあるとした.講演の中では,ソフトウェアの構成管理の問題を解いた.また,2007年2月1日から電波新聞に組み込みソフトウェア技術者試験クラス2の模擬問題の解答と解説を1日1問ずつ掲載していることを紹介した.

 大橋憲司氏は,JASAが組み込みソフトウェア関連の書籍を出版していることや,セミナを行っていることを紹介した.組み込みソフトウェア技術者試験の受験勉強用として,電波新聞社が出版している「絵で見る組込みシステム入門」,「組込みシステム開発のためのエンベデッド技術」,「エンベデッドシステム開発のための組込みソフト技術」といった書籍を紹介した.

■連絡先
社団法人 組込みシステム技術協会
TEL:03-3403-5101
E-mail:etec@jasa.or.jp

(c)2007 CQ出版