ARM,ECC機能と浮動小数点演算ユニットを搭載した車載向け32ビットCPUコアを発売
 英国ARM社は,自動車への搭載を想定した32ビットCPUコア「Cortex-R4F」のライセンス供給を開始した.同社が2006年5月に発表したリアルタイム制御向けの32ビットCPUコア「Cortex-R4」をベースに,内蔵メモリに格納したデータのエラー検出・訂正を行うECC(error correcting code)機能,単精度と倍精度の両方に対応した浮動小数点演算ユニット,AMBA3 AXIスレーブ・インターフェースのDMAポートなどを追加・削除できるようにした.同社ではエンジン制御やパワートレイン系の処理,シャーシ制御,アンチロック・ブレーキ制御,エアバック制御,カー・ナビゲーションなどへの応用を期待しているという.

 本CPUコアのアーキテクチャはv7R(Real time profile)に準拠している.32ビット命令と16ビット命令を混在して使用できるThumb-2命令に対応している.処理性能は1.6 Dhrystone MIPS/MHz.例えば8Kバイトのキャッシュ・メモリを搭載し,面積優先の制約で論理合成を行ったときの動作周波数は273MHz,面積は1.43mm2,消費電力は0.244mW/MHz.16Kバイトのキャッシュ・メモリと浮動小数点演算ユニットを搭載し,速度優先の制約で論理合成を行ったときの動作周波数は400MHz,面積は2.26mm2,消費電力は0.317mW/MHz.いずれも台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.)の90nmプロセス,G(generic)プロセス向けArtisanセル・ライブラリを使用した場合の推定値である.

 浮動小数点演算ユニットを搭載するかどうかは,論理合成時に選択できる.浮動小数点演算パイプラインは4段.これはおもに単精度演算に最適化して設計されているが,IEEE754準拠の倍精度演算にも対応している.また,浮動小数点演算パイプラインと整数パイプラインは密に統合されており,コプロセッサ・インターフェースで接続した場合のような処理のオーバヘッドはないという.

 エラー検出・訂正処理については,従来のCortex-R4もTCM(Tightly Coupled Memory)とキャッシュ・メモリのパリティ機能(エラー検出が可能)や,TCMに外付けするECC回路ブロックを用意していた.今回のCortex-R4Fでは新たに,TCMとキャッシュ・メモリのためのECC機能をCPUコアの中に組み込んだ.ECC機能の搭載により,シングル・ビット・エラーの訂正とダブル・ビット・エラーの検出を行えるようになった.また,機能安全の国際規格であるIEC61508(電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全)の認可を受けやすくなるという.

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