名古屋大学が組み込みソフト技術に関する研究センタを設立,まずはトヨタと車載情報機器向けOSを共同開発
 名古屋大学は,大学院情報科学研究科の組織として「附属組込みシステム研究センター」を2006年4月1日付けで設立した.組み込みソフトウェア開発の現場では,コード量の増大や実装形態の多様化に加えて,コストや開発期間の削減などが要求されている.その一方で,組み込みソフトウェア開発者の不足や大学の研究テーマと産業界が求める技術の間の隔たりなどが問題となっている.「大学が持つ技術シーズが産業界で実用化されるのを促進することと,組み込みソフトウェア技術者の育成などがセンタ設立の目的」(同センター長を務める名古屋大学 大学院情報科学研究科 教授の高田広章氏).

 同センタはプロジェクトごとに外部資金や人材を集め,研究開発を行う.最初のプロジェクトとして,トヨタ自動車と共同で車載情報機器向けOS,および同OSと制御系OS,マルチプロセッサの間の連携機能を開発する.ナビゲーション機能や地図情報,道路交通情報などの情報系システムと組み合わせることで,例えば道路法規に応じた速度制御なども可能になるという.

 この車載情報機器向けOSのプロジェクトの開発費用は基本的にトヨタ自動車が負担する.同OSはUNIXをベースとして独自に開発し,制御系OSにはトヨタ自動車が開発したものを利用するもよう.4年後の実用化を目ざす.また,成果物の一部は,JasPar(Japan Automotive Software Platform and Architecture)を通じて一般公開していくという.

 今後は,自動車制御システム向けソフトウェア・プラットホームに関するプロジェクトなどを立ち上げる予定.また,同センタはプロジェクト参加の研究者や技術者を広く募っていく.

■連絡先
名古屋大学 大学院情報科学研究科 附属組込みシステム研究センター開設準備室
TEL:052-789-5887

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