MontaVista,プリエンプション遅延を改善したLinux 2.6.10カーネル・ベースの組み込みLinuxを発売
 米国MontaVista Software社は,プリエンプション遅延を改善してリアルタイム応答性を良くした組み込みLinux「MontaVista Linux Professional Edition 4.0」を発売した.カーネルはLinux 2.6.10を利用している.新たに,割り込み処理をスレッド・コンテキストで実行できるようにした.また,従来からあるSpinlockやBKL(Big Kernel Lock)という機能の一部をPriority Inheritance Mutexと呼ぶ排他制御機構に置き換えている.これらの改善により,例えば以前のバージョン(同Professional Edition 3.1)では1ms〜2msだったプリエンプション時間の最悪値が100μs程度となり,専用のリアルタイムOSの性能にかなり近づいたという.なお,携帯電話や携帯機器向けのMobilinux,高可用性が要求される通信インフラ機器向けのCarrier Grade Editionについては,すでにLinux 2.6.10ベースのバージョンが発表されている.

 スループット(処理性能)と割り込み時のリアルタイム応答性は,一般にトレードオフの関係にある.本OSでは,ユーザは3段階のプリエンプション・モードを選択できるという.

 このほか,今回のバージョンからNPTL(Native POSIX Thread Library)のサポートを開始した.また,IPSecや無線LANドライバ(Prism54)にも対応した.さらに,従来はオプションだったX11/GTK(Xウインドウシステム)を標準搭載とした.

 開発環境として,Eclipse 3.0.1とCDT 2.1をベースとする「MontaVista DevRocket」を用意する.また,プリエンプション時間や割り込みレイテンシ,メモリ・サイズなどを解析するツールも用意する.

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