CSR,Bluetooth SIGの仕様がまとまりしだい,物理層にUWB技術を採用したBluetoothチップを発売へ
 英国CSRは,2005年7月13日〜15日に開催された無線通信技術に関する展示会「ワイヤレスジャパン2005(東京ビッグサイト,東京都江東区)」において,同社のBluetoothチップ「BlueCore3 BC3-MM」のデモンストレーションを行った.本チップは,Bluetooth v1.2に準拠しており,データ転送速度は1Mbps.デモンストレーションでは,本チップが内蔵するDSPにノイズ・キャンセルやエコー・キャンセルを行うソフトウェアを実装し,Hands Free Profileによって携帯電話と車載ハンズ・フリー機器の間で通信を行った.このソフトウェアは,同社が2005年3月に買収した米国Clarity Technologies社の音質改善技術「Clear Voice Capture(CVC)」を利用している.

 現状のBluetoothの規格は,EDR(enhanced data rate)仕様を追加したことで最大データ転送速度を3Mbpsに向上させている.今後,さらにデータ転送速度を引き上げるため,無線通信部分(物理層)にUWB(Ultra Wideband)技術を採用することをBluetooth SIG(Special Interest Group)が発表している.「現在,Bluetooth SIGは,UWBの開発者とともにBluetooth v3.0(Ultra Wide Bluetooth)の仕様を策定している.当社もこの仕様策定に参画しており,最終仕様の公開に合わせて,対応チップを発表する予定である」(シーエスアール ジェネラルマネージャーの富永創樹氏).

 Bluetoothでは無線通信のスペクトラム拡散方式としてFHSS(周波数ホッピング)を用いている.一方,UWBは現在のところ二つの方式,すなわちDSSS(直接拡散方式)とマルチバンドOFDM(直交周波数分割多重方式)が提案されており,統一されていない.この点について同氏は、「Bluetooth SIGとしては,通信方式については柔軟に対応すると考えられる.例えば,EDRの場合も,変調方式について仕様策定の当初は従来どおりGFSK(Gaussian frequency shift keying)を検討していたが,最終的に当社のEDR対応チップ(BlueCore4)ではPSK(phase shift keying)を採用している」と述べた.

 英国の調査会社であるIMS Research社の2005年1月の発表によると,Bluetoothを搭載した携帯電話やヘッドセットの出荷台数は,2005年には2.5億台に達すると予測される.おもな搭載機器は携帯電話やヘッドセットであり,欧州ではすでに広く普及している.「国内の携帯電話への搭載は遅れているが,今後は法規制によって自動車への搭載が見込まれるハンズ・フリー機器における採用を期待している」(同氏).なお,日産自動車のテレマティクス・システム「CARWINGS」には同社のBlueCoreチップが採用されている.

(シーエスアールの申し出により,一部記事の内容を変更した箇所があります)

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