Freescale,日本の研究拠点で開発中のMEMS加速度センサやUWBチップセットのデモンストレーションを披露
 米国Freescale Semiconductor社は,報道関係者を対象に東京研究所を公開した.同社の主力分野である,自動車,携帯機器(ワイヤレス通信),ネットワークに関する開発中の製品などについて,デモンストレーションが行われた.

 例えば,車載用製品では,同社のMEMS圧力センサを用いたタイヤ空気圧モニタ・システムのデモンストレーションを行った.測定範囲が最大9気圧の圧力センサとUHF帯の周波数を用いるRF IC,電池などを一つのモジュールとして各タイヤに取り付ける.圧力センサで測定した結果を定期的にメイン・コントローラに送信して,空気圧や温度を表示する.本システムは実際に自動車に搭載されているという.

 これとは別に,現在開発中の民生機器向け3軸加速度センサ「MMA7260Q」のデモンストレーションを行った.本加速度センサの測定範囲は±1.5g.動作時の消費電流は500μA,スリープ時が5μAと小さい.動作電圧は2.2〜3.6V.感度は800mV/g(3.3V動作時)である.耐衝撃性は,今のところ2000g(0.5ms)を確認済みであるという.2005年2月にサンプル出荷を,同年8月には量産出荷を開始する予定.

 また,ワイヤレス通信の分野では,すでにFCC(米国連邦通信委員会)の認可を受けているUWB(Ultra Wideband)チッvセットのデモンストレーションを行った.本チップセットは,RF IC,ベースバンドLSI,MAC(media access control)LSIからなる.周波数帯域は3.1GHz〜4.9GHzに対応している.アンテナから3〜5cm離れると電界強度が-60dBまで落ちるため,同じ周波数帯域を利用するシステム(例えば第4世代の携帯電話では3.5GHzを使うと言われている)との干渉が発生しないという.デモンストレーションでは,110Mbpsのデータ転送速度で高精細のビデオ・データをUWBを介してパソコンからディスプレイに送信した.また,2004年末には本チップセットを載せたMiniPCIボードを発売する.本ボードを搭載した製品が2005年の春ごろには市場に出るという.

 なお,現在,ベースバンドLSIとMAC LSIは0.18μmのCMOSプロセスで,RF ICはSiGeプロセスで製造されているが,2005年末にはこれらをすべて1チップに集積する予定.90nmのCMOSプロセスで製造する.小型化と低コスト化によって,UWBの民生機器市場への浸透を図るという.

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