Virtioの組み込みシステム開発用ソフトウェア・シミュレータとSynopsysのLSI開発用システム・レベル設計ツールが統合
 組み込みソフトウェア開発ツールのベンダである米国Virtio社と,EDAベンダの米国Synopsys社は,両社のツールを統合して使えるようにすることで合意した.具体的には,Virtio社の組み込みシステム開発用のソフトウェア・シミュレータ「Virtual Platform」と,Synopsys社のLSI開発用システム・レベル設計ツール「System Studio」を統合し,組み込みソフトウェア開発者とLSI設計者がいっしょに利用できるハードウェア・ソフトウェア協調検証環境を実現する.

 Virtual Platformは,プロセッサや周辺回路のCモデルの上でソフトウェア・プログラムを実行する組み込みシステム開発者向けのシミュレーション環境である.実際のチップやボードがなくても,プログラムのデバッグなどを行える.Virtio社では,ARM,Xscale,MIPS,OMAPなどのプロセッサ・モデル(プロセッサ・ベンダが提供している命令セット・シミュレータ,またはVirtio社が独自に開発した高速な命令セット・シミュレータ)を用意している.Magic Cと呼ばれる独自拡張のC言語記述を利用して,ユーザがカスタムのプロセッサ・モデルを作成することも可能である.シミュレーション速度は2000万命令/sと速い(1GHz動作のx86プロセッサを搭載したパソコンで稼働した場合).ただし,プロセッサ・モデルの精度はクロック・サイクル・レベルであり,ハードウェアの細かいタイミングなどは模擬できない.

 一方,System Studioは,LSIの機能をハードウェア記述言語やシステム・レベル言語(SystemC)でモデリングしたり,検証するための環境である.モデリングしだいでハードウェアの細かい動作を高精度に再現できるが,シミュレーション速度は10万クロック・サイクル/sと遅い.

 抽象度の高いVirtio社のCPUモデルをSystem Studioに組み込むことで,全体のシミュレーション速度が大幅に向上するという.また,プロセッサと周辺回路の間の細かい動作を忠実に模擬できる.

 両社のツールを統合した環境は,まず,2004年第3四半期中に,特定顧客に限定して出荷する予定.2004年第4四半期には,一般の顧客にも出荷する.

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株式会社東陽テクニカ(Virtio社の国内販売代理店)
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