Agilent,FPGAのデバッグ機能を備えるロジック・アナライザを発売
 米国Agilent Technologies社は,FPGAのデバッグを効率的に行う「FPGA Dynamic Probe」というオプション機能を用意したロジック・アナライザ「Agilent 16900シリーズ ロジック解析システム」を発売する.FPGA内部にデバッグ・モジュール「ATC(Agilent Trace Core)II」を組み込み,このモジュールと本ロジック・アナライザをプローブを介して接続する.本機能は,米国Xilinx社と共同開発した.

 ATC IIは,一種のマルチプレクサ回路である.最大32個の入力バンクを備えている.入力バンクの切り替えは,JTAG信号を利用して行う.外部に信号を引き出すための出力ピン数は4〜128.オプションとして,2対1のTDM(time division multiplexing;時分割多重)を利用して内部信号を多重化することもできる.これらの機能を組み合わせると,最大8,192(32バンク×128ピン×2)箇所の内部信号を観測できる(同時にモニタに表示できる信号は最大256).

 観測する信号名などの情報はFPGAの設計データから取得するので,ユーザがあらためて設定する必要はない.また,FPGAにソフト・マクロのCPU(MicroBlazeなど)を組み込んだとき,CPU上で実行するコードとFPGAの内部信号を同時にモニタ上に表示しながらデバッグすることもできる.デバッグに本機能を利用できるFPGAは,Xilinx社のSpartan 3ファミリ,Virtex-IIファミリ,Virtex-II Proファミリ.

 スロット数などが異なる3機種を用意する.すなわち,三つのスロット(最大306チャネル)と12.1インチのタッチ・パネル付きモニタを備える「16903A」,六つのスロット(最大612チャネル)と同サイズのタッチ・パネル付きモニタを備える「16902A」,六つのスロットを備えており,外部モニタに接続して利用する「16900A」である.Windows XPを搭載しており,GUIはWindowsの作法に従っている.例えば,トリガ条件の設定などをマウス操作によって行える.

 また,本ロジック・アナライザをプリント基板に接続するための信号プローブ「Soft Touch」を提供する.Soft Touchには,ボード・テスタなどで使われているスプリング付きプローブの技術が使われている.プリント基板上に配置するフット・プリントのサイズは7mm×22mm.2.5Gbpsの信号を取り込める.また,各種のシングルエンド信号の規格にも対応している.負荷容量は0.7pF以下.

 今回,本ロジック・アナライザと組み合わせて利用する3種類のデータ収集モジュールも合わせて出荷する.すなわち,450MHzの状態解析機能を備え,102チャネルに対応した「16910A」,同じ性能の状態解析機能を備え,68チャネルに対応した「16911A」,600MHzの状態解析機能を備え,68チャネルに対応した「16950A」である.いずれも,全チャネルについて,最大4GHzの信号のタイミング解析を行える.

 ロジック・アナライザやデータ収集モジュールは2004年4月から出荷を開始する.FPGA Dynamic Probeオプションは,2004年6月から出荷する予定.

■価格
約252万円から

■連絡先
アジレント・テクノロジー株式会社
TEL:0120-421-345

(c)2004 CQ出版