Xilinx社,設計したFPGAの動作周波数が1.75倍に向上する開発環境を発売
 米国Xilinx社は,FPGA開発環境ISEの新バージョン「ISE 4.1i」を発売する.プログラムしたFPGAの最大動作周波数が,従来のバージョン(ISE 3.1i)と比べて平均1.75倍,最大2.33倍向上する.また,同じゲート規模に対する処理時間を従来の約1/2に短縮した.例えば,FPGA換算で100万システム・ゲートの回路を処理すると,10分程度で配置配線が終了するという.

 今回のバージョンでは,大規模回路を対象としたサード・パーティ製検証ツールとの連携を強化した.すなわち,今回初めて,米国Synopsys社のフォーマル・ベリファイア「Formality」,静的タイミング解析ツール(STA:static timing analyzer)「PrimeTime」,HDL構文解析ツール「LEDA」,米国Verplex Systems社のフォーマル・ベリファイア「Conformal LEC(旧Tuxedo LEC)」などに対応したインターフェース・ソフトウェアを用意.これらのツールをISE 4.1iの画面から起動したり,ファイルを操作できる.また,消費電力解析機能も用意されている.

 プログラムしたFPGAの最大動作周波数が向上した理由は二つある.

 一つ目の理由は,配置配線アルゴリズムを改善したことである.各ネットに対して,配線順序に優先度を付けた.すなわち,タイミング制約のあるネットを優先的に配線するわけである.加えて,いったん配線して,タイミング制約を満たせなかったクリティカル・ネットが生じた際,タイミング的に余裕のある他の配線を取り除いてクリティカル・ネットを優先的に再配線できるようにした.

 二つ目の理由は,サード・パーティ製の論理合成ツールを使用した際に,フィジカル・シンセシス機能(論理とレイアウトの両方を考慮して回路を最適化する合成機能)が有効に働くようにしたことである.すなわち,配置配線ツールの内部情報を論理合成ツール・ベンダに公開し,論理合成ツールと配置配線ツールの間でネットリスト情報やバック・アノテーション情報を自動的に受け渡したり,論理合成ツールから配置配線ツールをコントロールできるようにした.

 今回,サポートするフィジカル・シンセシス機能付きの論理合成ツールは,米国Exemplar Logic社のLeonardoSpectrumと米国Synplicity社のAmplifyである.なお,ISE 4.1iが内蔵する論理合成ツール「XST」は,現在のところ,フィジカル・シンセシス機能に対応していない.

 ISE 4.1iには4種類の製品がある.そのうちの一つであるISE WebPACKはXilinx社のホームページから無償でダウンロードできる.サポートするデバイスはVirtex2V40/80/250,Virtex V300E,Spartan300Kなど.英語版は2001年9月から,日本語版は同年11月から出荷を開始する.

■価格
695ドル(ISE BaseX)
2,495(ISE Foundation)
1,495(ISE Alliance)
ISE WebPACKは無料

■連絡先
ザイリンクス株式会社
TEL:03-5321-7740

(c)2001 CQ出版