Analog Devices,Intelと共同開発のアーキテクチャを採用した16ビットDSPを発売


 米国Analog Devices社は,「Micro Signal Architecture」を採用した16ビットDSP「BLACKfinシリーズ ADSP-21535PKCA-200/300」を発売する.Micro Signal Architectureは,大容量の画像信号や音声信号の処理に特化したDSPアーキテクチャである.DSP処理向けの命令セットとマイコン向けの命令セットの両方を備えている.米国Intel社と共同で開発した.1999年夏に仕様が決まり,2000年12月に試作チップが完成している.

 ADSP-21535PKCA-200/300は,このアーキテクチャを採用した最初の製品である.2001年9月にサンプル出荷を開始する.量産出荷は2002年第1四半期からの予定.1万個購入時の単価は,200MHz動作のADSP-21535PKCA-200が27ドル,300MHz動作のADSP-21535PKCA-300が34ドルである.

 今回発売するDSPは,16ビット積和演算器を2個,16ビット乗算器を2個,40ビットALUを2個,バレル・シフタを1個搭載している.また,2.4Mビットのデータ処理用メモリ(SRAM),48Kバイトのキャッシュ・メモリ,4Kバイトのスクラッチパッド・メモリを備えている.外部インターフェースとして,PCIバス・インターフェースとUSBインターフェースを採用している.このほか,外部のA-D/D-Aコンバータとデータをやり取りするための四つのシリアル・ポートを持っている.

 画像処理用の8ビット演算命令,JPEG圧縮/伸張処理命令,IEEE 1180準拠(まるめ込み)の特殊命令などからなる「拡張メディア命令」を備えている.また,画像処理などの8ビット演算を同時に四つ実行できるため,MPEG-2やMPEG-4で使われている動画圧縮,動き予測,ハフマン符号化の処理をソフトウェアで実現できる.

 OSが管理するスーパバイザ・モード,アプリケーションを動作させるユーザ・モード,およびデバッグ・モードを持っている.対応するOSとしては,米国CMX社,米国Wind River社,英国Realogy社のDSP用リアルタイムOSや,米国Lineo社のuCLinuxがある.

 ソフトウェア開発環境として,コンパイラ,シミュレータ,デバッガ,ソフトウェア・プロファイリング・ツールなどを含んだ「VisualDSP++」を用意している.2001年10月には,評価ボードやデバッガなどのハードウェア開発環境を提供する予定である.

(c)2001 CQ出版