本システムは,探査体(模型ロケット),管制発射局,観測局,基地局,衛星という五つの構成要素からなる.各構成要素の関係と打ち上げ(軌道記録)の流れを以下に示す(図1)


[図1] Hamana-1システム概要図
「ハマナ1システム仕様書 r03」を基に作図したもの.

 探査体は,GPS(global positioning system)モジュールとフラッシュ・メモリを含む測位モジュール(データ・ロガー)を搭載し,飛行した軌道のGPSデータ(緯度,経度,高度,時刻)を記録する.
 管制発射局は,探査体発射までの打ち上げシーケンス遂行をサポートする.具体的には,天候観測(風速が規定を超えていたら発射中止,など)や発射地点のGPSデータ取得,発射の秒読み,点火信号の発信,発射成功/失敗の確認などを行う.
 観測局は,探査体の飛行経路を仰角測定によって記録する(今回は,人間が分度器を持って観測する).また,観測局の位置をGPS機器で記録する.
 基地局は,探査体の打ち上げ・回収後に,探査体に搭載したフラッシュ・メモリや基地局,観測局からGPSデータを吸い上げ,軌道計算を行って,軌跡を画面に表示する.
 衛星はGPS機器に対して,GPSデータを送信する.

 概要だけを見ると,それほど複雑なシステムではないように思えるかもしれない.しかし,詳細を詰めていくと,さまざまな課題が浮かび上がってくる.例えば,データ・ロガーを探査体の積載重量制限内(推定40g)に収めるには,どのような部品や基板を用いればよいか? 機体はどのような形状にすればよいか? GPSモジュールが衛星を捕捉するまでにはある程度の時間が必要だが,その間の電力をどのように供給するか? 管制発射装置は何をもって発射OK/発射中止を判断するか? パラシュートで落下した探査体を見失った場合,どのように回収するのか? フラッシュ・メモリは水没しても読み取れる状態だろうか? などである.
 本開発は,これらの課題を試行錯誤しながら一つずつ解決することによって進められた.

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