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環境指向の機器設計
青木正光 |
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●「グリーン」ということばで表される欧州の環境意識 欧州では環境を意識するという意味で「グリーン」ということばが使用され,昔から環境の重要性を指摘してきた.例えばドイツでは,「われわれは環境を無傷の状態で子孫に引き渡す義務がある」という環境モラルがある.国土の狭いオランダでは,「先祖が築いた土地を冷蔵庫の墓場にするな」と廃家電処理協会が訴えてきた. 欧州の調査機関がイメージ調査を実施したところ,ドイツでは「耐久性に富み,環境を配慮した製品作り」を実施しているというのが一般市民のイメージとなっているとの報告もある.今や「環境」を経営問題の中に組み入れて真剣に取り組む姿勢がないと,その企業の製品は,ユーザによって欧州の市場から排除されてしまうような状況となっている. ●1国だけでなくEUとしての環境規制を作る 上記のような背景を見てもわかるように,「環境先進国」といえばまず欧州が挙げられる.環境意識の高い欧州では,特に1994年に成立したドイツの「循環経済・廃棄物法」が有名となり,各国で参考にされた. ドイツとフランスに国境を接するオランダでは,「ホワイト&ブラウン・グッズ廃棄処理に関する法律(オランダで制定された電気・電子機器の回収とリサイクルを義務づけた法律.廃棄物発生の防止とリサイクル促進のための法律である.ほとんどの電気・電子機器がこの法律の対象となる)」が制定され,1999年1月より施行されている. 欧州連合(EU)は事実上,国境も関税も撤廃して通貨もユーロに統一し,人や製品の流れが自由になりつつある.通貨は2002年1月からユーロとなり,市場で流通するようになった.このような状況の中では,1国だけが環境に対する厳しい法律を制定してもうまくいかない.そこで,欧州連合として共通の規制を「欧州指令」として発効し,それを各国の国内法に組み入れて運用する方法が取られている.前述の電気・電子機器廃棄物指令(WEEE)は,欧州指令の一つである.環境関係を重視した指令のはしりでもある. いろいろと議論した結果,現在はWEEEの対象の中から特に電気・電子機器に含まれる有害物質に焦点を当て,「特定有害物質使用制限指令(RoHS :Restriction of Hazardous Substances)」として動きだした.このRoHSの提案4条には,「鉛」,「水銀」,「カドミウム」,「6価クロム」,「ポリ臭素化ビフェニル(PBB)」,「ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)」の六つが有害物質として指定されている.また,WEEEとRoHSという二つの欧州指令は,日本にも大きな影響を及ぼしており,RoHSによって「鉛フリー」と「ハロゲン・フリー」の必要性が叫ばれている.しかし,このような指令の実施は技術的に大きな問題を抱えているため,物議をかもしている. ●日本だけでなく東南アジアにも飛び火 このような欧州の動きに対して,日本では2001年4月より「特定家庭用機器再商品化法(略称:家電リサイクル法)」が施行された.対象は大型家電4品目(テレビ,冷蔵庫,洗濯機,エアコン)である.家電リサイクル法はすでに動き出しており,法制面では日本が先行した感がある. 欧州からアドバルーンの上がった「電気・電子機器の環境対応の重要性」という概念は日本に伝わり,各企業はその重要性を認識して,いち早く対応した.電子機器で使用している筐体やプリント配線板のハロゲン・フリーや,部品を実装する際の鉛フリーはんだの採用が進んでいる. 最近では,この傾向は日本から台湾にも伝わり,東南アジア地区に飛び火した感じがする. 台湾は日本と同じく土地が狭いため,環境に対して敏感に反応している.原発をめぐる問題では,「われわれの世代の利益のために数十年だけ原発に頼り,半永久的な毒物を未来の世代に残し,宝の島を毒の島にし,子孫をむしばむことはできない」と言って,行政院(内閣)が原発の建設中止を国民に訴えて多くの賛同を得た. 土地の狭い国や地域は廃棄処理の問題を抱えているため,欧州の環境対応の重要性という考えかたを取り入れている.そして,その輪は徐々に広がりつつある.環境先進国の欧州からは今後とも学ぶべき点が多くあり,目の離せない状況である. (本コラムはDESIGN WAVE MAGAZINE 2002年4月号に掲載されました) |
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◆筆者プロフィール◆ |
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