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Mr. M.P.Iのプロセッサ・レビュー
M.P.I |
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●マージン問題に対して新機軸の技術が登場 もちろん,たとえ環境条件が最悪の状態で全品を完ぺきにテストして出荷したとしても,出荷テスト装置の誤差分はマージンが必要になる.また,テスト装置間のバラツキも考慮に入れる必要がある.完ぺきな条件下での完ぺきなテストなど,なかなか実現できないことを考えれば,さまざまなバラツキを考慮に入れてかなりのマージンを上乗せするのが普通である.そして,一般には,誤差やバラツキを上流工程で押さえ込もうとすると,マージンは大きなものになる.ときには実態からかけ離れた数値になってしまうこともある. はっきりしていることは,LSIの実力そのものよりも,「内輪」の事情でほとんどのシステムは計画され,稼働しているということだ.保証値を無視してシステムを組むわけにもいかないが,システムが高速化し,半導体の製造プロセスが微細化すればするほど,マージンの部分は無視できなくなる.マージンをゼロにすることは不可能でも,可能な限り切り詰めたいという要求が出ている. 保守的な,かなり多めのマージンを尊重して堅いシステム設計を行うか,それとも実力値をきちんと評価してマージンを切り詰める努力を行うかは,技術者の考えかたしだいではあるが,ここにきてLSI技術の側に新機軸が出てきている.システムの中の自分(LSI)を自動的にキャリブレーション,もしくはコンフィグレーションすることによってマージン部分を追い込み,限界近い性能を引き出そうという手法である.そういった手法について統一的にくくることばが見つからないので,ここでは「オートマティック・セルフ・キャリブレーション(自動自己調整)」と呼ぶことにする. ●“インテリジェント”なアルゴリズムがかぎに このようなLSIは,学会論文のレベルでは昔から存在している.商用化した例はまだそれほど多くないのだが,ここに来てその機運が熟しつつあるように思える.共通していることは,外部環境に応じてみずからの電気特性などを調整し,動作するポイントを動的かつ自動的に決められるという点である.動的とは言っても,実際には動作中にたえず調整するものから,リセット時などに調整した後は次のリセットまでそのまま,というものまで,いろいろある. こうしたLSIを大きく二つに分類すると,外部の環境,例えばボード上の配線遅延などをLSIそのものが計測し,その計測結果に応じてみずからの出力の遅延などを決定するような「マージン調整確保型」と,例えば消費電力低減のために動作周波数を落とすとともに,動作に差し支えないところまで電圧を落とすような「マージン切り詰め型」がある.前者の例として,米国Rambus社のXDRコントローラに採用されているFlexPhase技術が挙げられる.後者には,英国ARM社と米国National Semiconductor社が共同開発しているIEM(Intelligent Energy Manager)と呼ばれる低消費電力技術がある. 前者の最大の利点は,設計・生産上のメリットである.例えば,多少ずぼらな回路設計や精度の悪いLSIを組み合わせても,きちんと動くシステムを作れる.このことは,多少精度の低い生産設備を使っても製造できることを意味する.何の手も打たなければ設計・生産の精度の低さによって食われてしまったであろう動作マージンを救い,自動的に安定動作を確保する.どちらかと言えば,性能面よりはコスト面のメリットが大きい. 後者の利点は,ぎりぎりまでマージンを切り詰めることによる性能の向上である.例に挙げたARM社とNational Semiconductor社のLSIの場合,オンチップで動作状態をモニタすることで,どこまで電圧を落とせるのかを決定し,それに基づいて外部電源が電圧を落とす.どの動作速度にはどの電圧といったあらかじめ与えられた関係から電源電圧を制御するのではない.チップ上のモニタ回路で計測して電圧を決定しているので,同じLSIでも個々に動作が異なる可能性があり,温度などの環境条件でも変化する. まだ,一部でひそかに使われ始めたばかりのこの技術だが,高度なキャリブレーションやコンフィグレーションを行うには“インテリジェントな”アルゴリズムが必須である.例えば,いくらLSIの状態を反映して電圧を変動させられると言っても,必要な動作速度の見積もりが誤っていては意味がない.この“インテリジェントさ”こそ,この技術のキーになると筆者は考えている. さて,みなさんも“インテリジェントな”アイデアをお持ちなら,オートマティック・セルフ・キャリブレーションに挑んでみてはいかがかな?
(本コラムはDESIGN WAVE MAGAZINE 2005年12月号に掲載されました) |
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◆筆者プロフィール◆ |
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